皆さんはドラマをみますか? 私が今、はまっているのは「海のはじまり」という月9ドラマです。子宮頸がんで20台で亡くなり6歳の子供を遺していく女性が出てきます。遺された子供、女性の両親、子供の父親などさまざまな人間模様を描いていますが、子宮頸がんというのはまさしくそういう病気なのです。小さな子供を遺して自分の両親より先に逝く、こんな不幸なことが起きてしまうのです。このドラマは良く描いているなと思います。
わたしの母も子宮頸がんで亡くなりました。49歳でした。わたしと妹は大学生。
自宅から離れた大学にいたので思うように看病もできず悔いが残っています。きっと母自身ももう少し時間があったらと思ったに違いありません。長女の私ははじめての子だったからか妹よりも厳しめに育てられました。「わたしばっかり」と恨めしく思ったこともありました。しかし亡くなる前に「私の子にしては上出来よ」と言ってもらったことですべてが帳消しになりました。数十年経った今でも生きていたらなんて言ったかな?こんな時はどうしたかな?と思いださない日はありません。「お母さん」の死は子供にとって大打撃です。
この子宮頸がんについては研究されウイルス感染で発症することがわかりました。それを予防するワクチンも開発されました。海外に遅れること7年、日本でも2013年に接種が開始されました。しかしその後有害事象があるとされ、接種を推奨されない時期ができました。10年のブランクです。この10年間に有害事象はワクチンによるものではないこと、積極的にワクチンを行わないことで日本での子宮頸がん発症率は欧米諸国に比べて大変高いことなどいろいろなことがわかってきました。そして今、10年のブランクの子どもたちへの接種チャンスとしてキャッチアップ接種を公費で勧めています。
本人にも家族にも悲惨な子宮頸がん。予防接種で防げるものなら防ぎたい。私はそう思って子宮頸がんワクチンを積極的に勧めています。
うちの母は私が卒業して小児科医になったこと、子どもが3人いること、何も知りません。
妹は悔しさがあったのか産婦人科医になりました。双子のお母さんです。それも知りません。
もしも予防があったなら、別の人生があったかも。本当にそう思わずにはいられません。
子宮頸がんワクチンは3回接種します。キャンペーンが終了する令和7年3月までに接種を終わるには9月中にスタートしたいのです。これを読んでくださった方、周りにいませんか?ぜひ声をかけてください。当院ではどの年齢の方にも接種しています。27歳でも大丈夫。のびのびこどもクリニックへ是非どうぞ!!!