2021年11月に1週間休診して、合宿勉強をしました。産業医という資格を取るためです。産業医とは職場の労働者の健康を守る仕事をする医者のことです。産業医になるためには特別な勉強をたくさんします。1週間朝9時から晩7時までみっちり勉強でした。学校を卒業してからこんなに授業を受けたことはありません。いいえ、学生の時もこんなに授業を受けたことはありませんでした。知らないことがたくさんあり小児科とは違う新しい世界を知りました。
そして2022年4月から、園医をしている幼稚園で「産業医」としても仕事を始めたのです。園医は子供たちの健康を守ります。産業医は幼稚園の先生の健康と安全を守る仕事です。

毎月一回幼稚園に出向き、子供と先生の様子を見回っています。幼稚園に行くと楽しいことがたくさんあります。一つはこどもたちと遊べます。遊んでいる様子を見るのも楽しいのですが、一緒に遊ぶのはもっと楽しいです。二つ目は給食です。私が産業医をしている幼稚園は、自園で給食を作っているので遊んでいるうちにいいにおいがしてきます。今日は何かなと楽しみにしながら遊べます。

もちろん遊んでいるばかりではありません。先生たちと会議もします。困っていることはなにか?コロナ禍で困りごとはたくさんありました。子供の健康を守りつつ、子供が犠牲にならない保育とはどうしたらよいのか?先生たちはとても工夫をしています。その工夫が有効に最大限の効果を出すようにアドバイスします。行事は工夫しながらなるべく行いました。しかし子供たちのために先生の健康が犠牲になってもいけないのです。いいバランスで行うには何をどうしたらよいか、みんなで知恵を出し合います。運動会、遠足、お泊り保育、発表会、今年はずいぶん行うことができました。

本来幼稚園は、友達を作り、喧嘩をしたり仲良くしたり、たくさんいろいろな経験をするところです。COVID-19対策で子供たちは当たり前に経験できたことができなくなりました。未来ある子供たちを犠牲にすることなく先生が犠牲になることもない、幼稚園のあるべき姿を考えています。ちょっと堅い話になってしまいました。病院の外でも医者の仕事があるのだなと知ってもらえたらうれしいです。